この店は、規格外の店だと思う。

第一に、店の形態だ。

知っていなければ、一見では絶対にたどり着けないと思う。
ビルの裏の薄汚れたドアが入り口だ。魚のほねと書かれた木箱が入り口の看板なんて誰も思わないだろう。ドアを開けて急な階段を上り3階にいくと、これまた分かりづらいドアがある。このドアを開けると、天井の高い店内に入ることになる。

第二に、店のサービスだ。

オーナーシェフの桜庭氏がたった一人で、料理からサービスからすべて行っている。だから、一日3組しか客をとることができないのだ。寿司屋でカウンターに座れるだけの人数しかお客をとらないケースもあるが、その和食版のようなものなのだろう。ここの店は、カウンターと2つのコーナーの3カ所が用意されているので、グループごとにその1角をしめることになる。

第三に、料理だ。

「魚のほね」という名前が示すように、魚料理が中心で、すべてお任せのコースとなる。桜庭氏が仕入れてきた高級魚を次から次へのさばいて出してくれる。

桜庭氏に聞くと、お造りをメインに考えているということなので、①先付け、②八寸、③前菜的魚、④汁物、⑤お造り、⑥焼き物、⑦ご飯類という形で進行するのが標準のようだ。つまり、通常の和食コースのように早い段階でお刺身はでてこない。

しかし、お任せメニューといっても、一人で調理をしていること、すべて、お客にあわせて作ることから、リクエストをすればかなり柔軟に対応しれもらえるようだ。たとえば、お造りは先にだしてほしいとか、肉料理をメインにしてほしいなど、予約の時点でリクエストを出せば応えてくれるとのこと。

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ということなので、料理も毎日違うし、お客によっても関わっていくので、ある日の料理を紹介しても同じものがでてくるはずもないのだが、一応書いてみよう。

①先付けにでてきたのは、北海道の生タコに沖縄の太モズクをあわせたもの。つるっといく。

②次に、ハモだ。もちろん骨切りをしてあるが、皮目を少し炙っただけの生っぽい仕上げだ。ハモを梅酢でたべるのはよくあるが、この店では酢と岩のりを合わせて海苔酢という不思議なもので食べさせる。磯風味が効いて、梅酢よりも気がきいていると思う。

③島根の高津川でとれた鮎の塩焼き。20センチ程度の中ぶりの鮎であるが、僕にとっては今年の初鮎だ。これも、通常は蓼酢で食べることが多いが、この店では、蓼を生のまま添えて出している。一見笹の葉のように見えるが、これをかじりながら鮎を頭からかじるのがここの店のお勧めだ。これも気に入った。

④ここで汁物ということで、シジミの濃縮スープ。1キロのシジミを煮込んで2リットルしかとらないという濃縮スープだ。これを黒こしょうと塩の味付けで、葛で少しだけとろみを付けて出す。非常に体に良さそうだ。

⑤メインのお造りは、皮を炙った青鯛、スズキ、カツオ、アオリイカだ。これを、ワサビ、ゆず胡椒の薬味などで食べる。醤油だけでなく、この店特有の唐辛子酢で食べることもお勧めされている。それぞれ新鮮で美味である。

⑥焼き魚はノドグロ。千葉産だという。北陸のノドグロを食べたことがあるが、桜庭氏によると、千葉県産の方が脂がのった上に締まっているという。25センチくらいある半身を生っぽく焼いたものだ。中がとろとろで、煮たようだ。

⑦最後のシメは、カツオ丼。脂がのったカツオだ。半分食べたところで、お茶漬けにして食べる。

⑧デザートに桜錦のサクランボ。

以上がこの日のコースであった。魚好きの僕としては、全体として非常に満足して、ハイレベルの料理をつまみに十分酒も飲んだということなのだが、魚が重なること、刺身などの生魚が後半にしかも大量で出ることで、ややお腹にもたれるという人もいるかもしれない。

そんな人の場合は、メインを肉料理にしてほしいとか、お造りは早めに出してほしいなどのリクエストを予約時にしておくこともお勧めだと思う。

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冒頭に規格外の店と書いたが、この店の特徴は、やはり親方の桜庭氏の存在であろう。友人の自宅に来たようなおもてなし感、プライベート感だろう。これを是とするか否とするかは人によって評価が分かれると思う。

最近は、接待に使うグループもあると聞くが、この特別なプライベートな空間を評価してのことだと思う。

逆にブログなどであまり有名になってしまうと、この店の桜庭私的空間的なよさが失われてしまうのかもしれない。第一、さらに予約がとれなくなってしまうのはつらい状況である。

「東京最高のレストラン」という本をぱらぱら見ていたら、過去1年間に開店したレストランとして非常に高い評価を受けていた。家からも遠くないので、出かけてみることにした。

場所は、恵比寿ガーデンプレイスの北、目黒三田通りに面している。フランス国旗があるので、フランス料理店とわかるが、看板は目立たない。わずかにローマ字でHIROMICHIと書いてあるだけなので、見過ごしてしまいそうだ。

店内は白を基調に落ち着いた雰囲気だ。各テーブルには、オイルランプが置かれ、部屋の隅には花が飾られている。

 メニューは、アラカルトのほか、軽いディナー(5,600円)、フルコース(7,600円)、シェフお任せ(11,000円)が用意されている。最初の訪問だったので、お店のお薦めにしたがい、シェフの特徴的な料理が入っているフルコースをお願いしてみた。

この店で評価できるのは、ワインの価格付けがリーゾナブルなことである。フレンチレストランでは、市場価格の3倍程度の価格付けをして、ワインで利潤を上げようという店も散見される。しかし、この店の価格は、市場価格の5割増し程度のものが多く、求めやすい価格帯になっている。フランス料理なのでフランスのワインしか置いていないが、ボルドーやブルゴーニュだけでなく、ラングドック等の手軽なワインもラインナップされている点も評価できる。

今回は、グラスでシャンパーニュとロワールの白をもらい、エルミタージュの白をボトルでとってみた。ローヌ地方のエルミタージュというワインは赤が著名であるが、エルミタージュの白は濃厚であり、鶏料理なら十分につりあうからだ。

さて、料理の方である。

① 最初に出てきたのは、アミュゼ。青カビチーズを練り込んで焼き上げたシューのようなもの。田舎風テリーヌにポルト酒ソースとてんさいソースをあしらったものがでてきた。量は少ないが、テリーヌはよかった。

② シェフのオリジナルということで、魚介類の春サラダ。アサリ、ホタルイカ、トコブシに、ホワイト・アスパラやキャベツなどをあしらい、ニンジンの黄色ソースと空豆の青色ソースをちりばめた、非常に絵画的な皿である。目にも美しく、食べても美味しいという、二回の喜びがある。

③ ブーダンノワールのカリカリポテト包み。これもオリジナルな料理だ。ブーダンノワールは黒い具が詰まった「血のソーセージ」として出るのが普通だが、この店では、黒い具を細切りのポテトで刳るんで、それを揚げて熱々の状態で提供する。ブーダンノワールの中身をテリーヌ的に出す料理は食べたことがあるが、このような形は初めてである。非常に洗練されており、ブーダンノワールが苦手な女性でも問題なく食べることができると思う。

④ 小名浜港で揚がったマコガレを使って、カリカリに半身を焼き、スープ仕立てのソースに半分つけてある。軽い料理であるが、ポワレの仕方は上手である。

⑤ メインディッシュは、鴨(胸肉のグリルと脚のコンフィ)か、軍鶏か、選ぶことができる。鴨のコンフィなどはよく食べるので、軍鶏にしてみた。

タマネギなどを柔らかくなるまで炒めた物を軍鶏肉でくるんで、じっくり低温で焼き上げた料理だ。肉質がみずみずしく仕上がっており、食感もよい。最近のフレンチでは、火加減など含めて、研究が進んでいると思う。

付け合わせは様々なカブだ。紅芯大根を敷いて、その上に何本もカブを立たせている。これも、絵画的な盛りつけだ。小さな小人が何人も皿の上を歩き回っているようにも見える。

⑥ デザートは、イチゴやトマトにマスカルポーネチーズを合わせて、バルサミコで味付けしたものだ。バルサミコを使ったデザートなんて食べた経験がない。オリジナリティが高く、美味である。

19:30くらいから食べた始めたが、ワインを飲みつつ食事をしたところ、22:00過ぎまで時間がかかってしまったが、全く飽きることなく、最後まで食事を楽しむことができた。

帰り際に、オーナー・シェフの小川弘道氏が挨拶に出てきてくれた。少しだけ話をしたが、気さくな感じのシェフである。道でタクシーを拾うまでずっと店の前で見送ってくれたのが印象に残った。

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この店は、日本の食材なども十分に使いつつ、こってり系ではない、ヌーベル・キュイジーヌ系の料理を出す。例えば、ブータンノワールでも普通に作るのを3倍くらい手間をかけて、高次元の料理へと昇華させている。食べログやその他の料理本でも高評価であり、多くのファンがつくのも当然と思う。

 

セルリアン・タワー東急ホテルの2階にある和食のレストランだ。

二階の奥まった場所にある店であるが、広々としたスペースで、テーブル間の間隔も広くとっている。

金田中といえば、銀座?の料亭として著名であるが、このセルリアン・タワーには2種類の店を出している。2階のこの「草」と地下2階の「数寄屋」である。地下の数寄屋は料亭であり、金額もかなり高い。夜に食べて酒を飲んで一人4,5万円はする。それに比べると、この草は、一人1万円台で食事がとれるので、入りやすい。といっても、夜のコースで、9000円、12000円、15000円が用意され、これに税・サービスがつくとそれなりの値段になってしまうことは覚悟する必要がある。

母の日の食事会で訪問した。母の日なのに、勘定は母持ちなので、母におごられる日になってしまった。最近は、やはり年寄りの方が資産を持っていて、金持ちだと思う。

さて、僕らが注文したのは、12000円のコースだ。

最初に前菜であるが、たくさんの種類を少量だす。記憶しているものだけでも、次の通りだ。
①グリーンピースのすり流し。おちょこのように少量。
②イモの茎を煮込んで冷やしたものに、鰹の酒盗がかけてある。内臓の塩辛だが、新鮮でよくあう。
③松阪牛のたたき。薄くスライスした牛に醤油で味付け。
④鰹の煮込んだもの。味が濃く、酒に合いそう。
⑤稚鮎を焼いたもの。この時期は、琵琶湖産の養殖物を使うのが普通。
⑥ゼンマイ、コゴミ等の山菜。
⑦蕗の煮たもの。

次にお椀だ。
これは、イチゴ煮。イチゴ煮というのは、青森の方の料理であり、ウニ、アワビなどを煮込んだお椀であるが、ちょうど煮込んだウニがイチゴのように見えることからイチゴ煮と呼ばれている。贅沢な椀である。
ウニとアワビに加え、山吹豆腐というモチモチした正体不明のものが入っていた。店員さんに聞いてみると、葛餅に色を付けて山吹色にしたものという。縁起物として入れているらしい。

次にお造りが出てきた。このお造りも、一つ一つの量は少ないが、種類は多く、かつ、丁寧に作り込まれている。
①鯵のたたき寿司。たたい鯵と酢飯を混ぜ込んで、笹で巻いて出している。
②鰹のはさみ寿司。鰹を上だけでなく下に置き、2枚の鰹でご飯を挟んだ形にしている。
③ヤリイカは、棒状に切っているが、青のりを絡めたものなどの工夫がある。
④白身魚は、何か忘れたが、昆布締めをして味付けをしている。
⑤ハモ。骨きりして湯通しして、ボタン状にして、梅醤油をあしらっている。歯ごたえが非常にあり、いい仕事をしていることがわかる。

メインは、ナスとエビの揚げ出汁鍋。
これは、土鍋に大根おろしのみぞれを使った出汁を張り、そこに揚げたてのナスとエビを入れた料理。あまり食べたことのない料理であるが、美味。

シメに、ご飯ものだが、鰻入りの雑炊か、鴨入りのうどんか、選択できる。僕は、鰻雑炊を食べたが、熱々で出汁も十分とれていておいしかった。

最後のデザートは、10種類程度のレパートリーから2つ選択可能である。選択肢は、よもぎ餅、白玉あんみつ、バナナのクレームブリュレ、タピオカ・ミルク、イチゴの牛乳プリン等に、デザートワインやリキュールも選択肢に入っている。

僕は、この金田中の名物デザートであるイチゴ牛乳プリンとバナナを食べてみた。牛乳プリンは名物という割にはたいしたことがなかったが、バナナのクレームブリュレはなかなか趣味にあった。

全体としてみると、非常に満足した食事であった。一つ一つ丁寧に作り込まれ、多種多様な味わいを楽しむことができた。量も一つ一つ少量ではあるが、食べ続けているうちに、男性でも十分満腹感が広がってくると思う。

この店は、ホテルの中の高級感ある場所であり、かつ、金田中のネームバリューもあるので、接待にも向いていると思う。また、法事などの少人数の会合で使っても良いと感じた。

恵比寿ほの字

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最近テレビを見ていたら、「サザエさん視聴率の法則」というのをやっていた。サザエさんの視聴率が高いときは株価が下がり、視聴率が低い時は株価が上がるというものだ。つまり、日曜日の夕方に家族で外食する人が多い時は、景気がよく、株価も上昇するということだ。同様に、「新橋駅の乗降者が多い時には不景気で、恵比寿駅の乗降者が多い時は景気がよい」という法則も提案されていた。

恵比寿は一部高級レストランもあるが、実感からすると、安飲み屋も多いので、この法則はあまり当てはまらないと思う。土曜日の夜に、食事をかねてちょっといっぱい飲もうと思ったが、どこも満員。数件目で、この「ほの字」に飛び込むと、奥の座敷のカウンターだけが空いていると案内された。

この店では、最初にお通しは自分で4種類の中から選ぶことができる。僕らが選んだのは、ウルイのおひたし、アスパラガス。そして、注文したのは、①お造り盛り合わせ。サバ、カツオなど3種類の刺身。②春の野草の天ぷら。かなりボリューム感あり。③和風シーザズサラダ。鰹節と温泉卵がトッピングされたサラダ。④鶏の唐揚げ。

料理はそれなりであるし、なにより量がたっぷりなのがよい。ということで、生ビールと一緒に食べてかなりお腹がふくれたので、お勘定をすることにした。

メニューの種類はそれほど多くなく、オリジナルな料理を出す店ではない。しかし、リーゾナブルな値段で、みんなでわいわいやるのに良い居酒屋である。それなりに使ってもよいと思う。

 

やすんごは飢えている

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やすんごは飢えている。

おいしいレストランに飢えている。

真に評価に値するレストランに巡り会いたい。

このブログは、そんな見果てぬ夢に向けた放浪記となるだろう。

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